歯科医がコロナを考える

毎日情報が更新されていく中で、世界中のデータが集まり新型コロナウイルスによる感染症への対策も近いうちに確立されるでしょう。(してほしい!) 今日は歯科医の観点から現時点での考察をしてみたいと思います。

現在分かっている症状

・無症状の場合もある(検査を受けていないので把握できていない方も多いと思われます)
・発熱、関節痛、咳、のどの痛み・・・風邪のような症状
・激しい咳、痰、呼吸困難・・・肺炎の症状
・味覚、嗅覚障害
・皮疹、結膜炎・・・川崎病様症状
・脳梗塞、心筋梗塞、足のしもやけ様症状・・・血液凝固系の異常
等の様々な症状があることが分かっています。 無症状以外はどれも避けたいところですが、上記の症状の中で命の危険があるものはお分かりでしょうか? おそらく重体~死に至るまでには
・肺炎
・血液凝固系の異常(脳梗塞、心筋梗塞、心不全)   のどちらかを経由しているのではないかと推察できます。

歯科医の目線からこの2つの症状を見ると気が付く事があります。

・肺炎はもともと高齢者に多くみられるが、
 多くは口の中の菌がむせた時に肺に入り起こる誤嚥性肺炎であること
・歯周病が悪化すると血管の中に歯周病菌(または菌の毒素)が入りやすくなり動脈硬化や
 脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがある
これらは近年では医師、歯科医師の間では常識となってきている事です。 歯周病治療を開始する患者様にはこの説明をすることが多いのですが、新型コロナが登場する前から これらの疾患は死者における割合の多くを占めていました。(他はガンなどの悪性腫瘍とか事故)

歯科医に出来ること

死亡割合の高い上記の疾患は、毎日の歯磨きの上達、定期的なクリーニング、歯周病の治療を行うことによりリスクを減らすことが出来ます。 つまりプラークコントロール、口腔ケア、歯周病の治療は平常時や新型コロナに感染した時の死亡リスクを下げる効果があると言い換えることが出来ます。もちろん感染が蔓延している時期には来院や来院のための外出により感染の機会が増えるデメリットを考慮しなければなりませんので、日頃から口の中を整えておくことが重要です。 診療に際しては可能な限りの感染防止を行います。患者様へ、ひいては周囲の方への感染防止、更に最前線の医師たちの負担を増やさないよう努めたいと思います。  

最後に・・・

新型コロナウイルス感染症はエイズや肝炎よりも感染しやすいことに加え、年齢や基礎疾患、生活習慣により重体にもなりうる非常に恐ろしい病気だと思います。後遺症の有無は、現在はっきりとは分かっていませんので抗体を作ることを目指すよりは感染しない方がよいと考えています。一生のうちにはかかってしまうことがあるかもしれませんが、そのころには対処法が出来ているはずです。 私は中学生の時剣道部に所属していましたので、打ち込んだ後、気を抜かず相手の方を向き構え直す『残心』 が重要であることを知っています。(武道に共通だそうですね) 緊急事態宣言が明けても皆様すぐに気を抜かず、一人一人感染に気を付け健康に過ごされることを願っております。 院長