歯科矯正について

矯正と聞くと皆さんは何を思い浮かべますか?

おそらく前歯の部分に器具がついている状態を思い浮かべるのではないでしょうか。 痛そう、高そうなどのイメージもあるでしょう。概ねその通りだと思います。 現在では従来のイメージ通りの矯正に加え、器具を裏側につける舌側矯正、マウスピースを用いた矯正などバリエーションが増えてきています。矯正器具が人から見えるのを避けたい方のニーズに対応できるようになってきつつあります。(ケースによります。) 矯正治療は、年単位の時間がかかることが多く、健康保険も適応できないことが多いため費用がかなりかかります。又、器具の装着中は物が挟まりやすかったり、締め付けられる感じがするなどマイナス面も少なからずあります。それでも、医療行為として認められているのにはマイナス以上にプラスの面が大きいためです。



 

改めて歯並びを整えることの意義を考えてみましょう。

一つにはもちろん見た目の改善があります。
コンプレックスになってしまう歯並びは、明るく笑顔でいられるために矯正したほうが望ましいでしょう。わかりやすいプラスの面だと思います。
二つ目には口腔機能の回復、維持ということがあります。
口には前歯、奥歯、歯肉、舌、頬、唇などがありそれぞれ役割があります。口腔の機能は一連でみると前歯で食べ物を咬み切って奥歯ですりつぶし、舌などで唾液と絡めながら食塊を形成し、唇を閉じ全体として口の中を陰圧にして喉に送り込む咀嚼、嚥下という働きをしています。 細かく見ると前歯は奥歯にかかる力をコントロールする役割、歯肉は刺激から歯を守る役割というように個々の働きがあります。 歯列不正の一つで前歯が上下で全くかみ合わない開咬(オープンバイト)という状態を例にとると、
・奥歯に力がかかりやすく早期喪失につながりやすい(入れ歯やインプラントを入れることにつながりやすい)
・前歯が接していないため長期では伸びてきてしまい歯並びがさらに悪くなる
・麺類などが咬み切れず食事しづらい
・唇が閉じづらく口呼吸(鼻呼吸に比べ細菌やウイルスが侵入しやすい)になりやすい。口内が乾燥して炎症を起こしやすい。
などの問題が起こっています。矯正で歯を整えることで前歯には前歯の働きをしてもらい、歯や口腔の機能が長期に維持されるのであればマイナス面とは比較にならないほどプラスでしょう。また、食は人生においても大きな楽しみの一つですが、矯正された方は口をそろえて食事しやすくなったとおっしゃいます。この点においても大きなプラスですよね。
三つ目には治療やメンテナンスのしやすさを挙げたいと思います。
日々診療していると歯が重なっていて器具が入らない部分に浅い虫歯や歯石があっても取れないことがあります。 また、かみ合わせが悪い部分は歯石が付きやすかったり(自浄作用が働かないため)、歯肉がやせていたり(歯肉退縮)、歯の根元が欠けていたり(アブフラクション)します。しかし、かみ合わせを整えることにより自浄作用が働くようになります。また物が挟まりづらくなったり、歯への咬む力によるダメージをコントロールすることも期待できます。 さらに欠損した部分に歯を補いたい時、隣の歯が倒れていれば正しい形に治療できず、長期予後に不安が残ります。 そのため治療の精度にこだわるならばその時点で術前矯正を行う必要があります。 かみ合わせをよく、お手入れしやすいように整えご自分の歯を長持ちさせるように、 万が一喪失した場合でも正しい形で補うことができるように予め矯正しておくこともまた、かなりのプラスがあるでしょう。

クリニックでは・・

歯列不正の問題は知らずに一生過ごされる方もいらっしゃるでしょう。もう少し早く知っていたら時間や費用が掛かってもやりたかったのにという方もいらっしゃいます。 ですからクリニックでは歯列不正が認められれば患者様に上記のことを説明し、矯正のお話をしております。マイナスの面もある矯正ですから全ての方が治療を受けられるとは思っておりません。高額な治療のため聞きたくない方もいるとは思います。ただ診査した結果と治療法を正しくお伝えするのが歯科医師としての責務だと考えています。実際の治療は専門医に大部分を任せ、かみ合わせのチェックや虫歯、歯周病の予防を院長が行います。興味がある方は相談のみでも可能になっていますのでご連絡ください。