歯科治療を例えるなら・・・

歯科医師により何に例えるかは様々でしょうが、私は歯科治療は家を建てていくイメージに近いと考えています。

家の場合はここにコンセントや手すりが欲しい、大きめの窓にしてほしい、ここは何色でなど希望が色々出てくると思いますが、歯科に関しては患者様の方からここは歯の色のもので治したいとか入れ歯に見えないようにして欲しい、などと言われることはまれです。どのようなものがあるのかご存知でないからだと思います。インターネットで少し調べるとほとんどのパターンについての記述がありますが、専門用語もあり敬遠している方が多いのではないでしょうか?

御自分の体の事であり、家よりも歯のほうが間違いなく使用頻度は高いので、もっと色々希望があれば遠慮せずお伝えいただきたいと思っています。

 

 

さて、私がもし家を建ててもらうことがあれば、設計士さんや職人さんにはこんなことを期待します。(私は建築に関しては全くの素人です。)

1.骨組みや柱、外壁などは質の悪いものだと耐久性や安全性、見た目などに問題が出るため、やり直すことでかかる時間や費用を考えるとなるべく質の良いものを使いたい。予算のこともあるのでそれぞれの特性や費用を教えてもらってから選択したい。プロから見て何がベストか教えてもらいたい。

2.私の希望も聞いてもらいたいが、その通りに施工するのではなく、そうすることによるリスクやデメリットがあれば教えてほしい。

3.継ぎ目やずれが無いように、隙間から虫や風など入ってこないように丁寧に作ってほしい。壁の裏側などは写真などで手抜きが無いか確認したい。

4.実際住んでから問題があれば微調整してほしい。長く住むために自分で簡単にできるお手入れの方法があれば教えてほしい。

 

ですから、家を建てる時に私がしてほしいことを、クリニックにおいて患者様に提供させて頂くと次のようになります。

 

1.差し歯をする時に入れる土台や詰め物、被せ物等に使う材料をそれぞれ説明し、患者様に考えて頂く。歯科医師としては総合的に判断し、ベストなものを提案する。

2.患者さんの希望は聞いて、歯科医師としてアドバイスや考えられるリスクをしっかり伝える。

3.詰め物や被せ物が取れづらく、段差が無く清掃しやすいように、技工士の先生が作りやすいように考えながらきれいに歯を形成、型どりする。それをペンスコープで撮影し患者様にも確認して頂く。

4.治療が終わってもメンテナンスをしっかり行い、セルフケアについても習得して頂き、患者様の健康を保つ。

 

いかがでしょうか?私はこのようなことを考えながら日々診療しております。